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実態調査にみる「職場のパワーハラスメント」の現状と予防・解決策②

・パワハラの発生状況

 従業員向けの相談窓口において従業員からの相談で最も多いテーマは「パワハラ」で、32.4%という結果が出ています。

過去3年間に1件以上「パワハラに該当する相談を受けた」と回答した企業は36.3%。

 一方で、過去3年間に「パワハラを受けたことがある」と回答した従業員は32.5%と、調査を始めた平成24年度から7.2%増えています。

 

・予防・解決に向けた取組状況

 パワハラの予防・解決に向けた取組みを実施している企業は52.2%で、企業規模が小さくなると実施比率は相対的に低くなる傾向にありますが、平成24年度と比較するとすべての従業員規模の企業で比率が高くなっています。

 パワハラに限らず、従業員向けの相談窓口を設置している企業は73.4%あり、企業規模が小さくなると設置比率は相対的に低くなるものの、平成24年度と比較するとすべての従業員規模の企業で比率が高くなっています

実態調査にみる「職場のパワーハラスメント」の現状と予防・解決策①

・調査の概要

 平成243月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」から「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」が公表されて5年が経過しました。

 同省は、この間におけるパワーハラスメント(以下、「パワハラ」)の発生状況や企業の取組状況などを把握し、今後の施策に反映させることを目的として実態調査を実施しました。

 全国の企業と従業員を対象に、平成287月から10月にかけて実施した調査結果に基づき、職場のパワハラの現状と予防策、解決策等についてまとめてみました。

AIで雇用はどうかわるのか③

・AI時代に備えた雇用を

 労働法が現行の内容である限り、日本の企業はたとえAIによって自社の職務の多くが失われても、自社従業員の雇用を守るべく、少なくとも努力をしなければ、裁判所は労働者の整理解雇の妥当性を認めません(解雇回避努力義務)。

 もちろん、「何がなんでもAIの脅威から従業員の雇用を守らなければならない」ということではありませんが、少なくとも今後はAIによって自社の雇用も大きく変わることでしょう。

 前述の『Works.137』は、企業の人事に向けて、「安心して共存するためのルールを、働く人とともにつくれ」「新しいことを常に学ぶ態度を身に付けさせよ」「AIによって人事自体の生産性を向上せよ」など、14の提案をしています。

 AIブームを機に、自社の中長期的な雇用について考えてみてはいかがでしょうか。

AIで雇用はどうかわるのか②

・仕事が無くなっても配置転換で対応してきた日本企業

 労働法の歴史に詳しい大内伸哉教授(神戸大学)は、次のように指摘しています(『AI時代の働き方と法』弘文堂、2017年)。

 ・1980年代のME(マイクロ・エレクトロニクス)革命や1990年代のIT革命の際にも、業務が一新され、従前の雇用が大量に失われた。その一方、MEやITに従事する新たな雇用も創出されたので、日本型終身雇用に守られた労働者は再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかった。

 ・ただし、AI・ロボット技術による革命では、(1)技術の発達が早すぎる、(2)肝心の雇用がそれほど創出されない、という2つの理由により、再配置には困難が伴うだろう。

AIで雇用はどう変わるのか①

・AIブーム席巻中

 昨年頃から実用化され始めたAI(人工知能)技術が、ここにきて一大ブームとなっており、AIについての報道や出版物が日に日に増しています。

 ここでは、「AI」と「雇用」の関係について考えてみます。

 

・労働者の半数が機械に仕事を奪われる?

 AIと雇用について論じる際、必ず引用されるのが、マイケル・オズボーン准教授(オックスフォード大学)らが2013年に発表した、「今後1015年の間に、米国の労働人口のうち47%が、AIやロボットに代替され得る」という研究結果です。

 関連する別の研究によれば、日本では、労働人口の49%が、AIやロボットによる代替可能性が高いそうです(リクルート機関誌『Works.137』特集「同僚は人工知能」、2016年)。

 労働者のおよそ半数が仕事を失ってしまう…そんな驚くべき未来が、そう遠くない将来に現実のものとなるというのです。そのとき、企業では何が起きるのでしょうか。

厚労省が労働法令違反による送検企業名を公開③

・一覧は毎月公表、掲載期間は1

 厚生労働省は各労働局に対し、企業を書類送検したら公表するよう通達していますが、これまでは報道機関に資料を配布するだけの労働局が大半で、企業名をHPで公表する労働局は大阪や岩手など7局だけでした。

 今回の公表は、昨年末に発表した「『過労死等ゼロ』緊急対策」の一環で、同省は「一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」としています。

 なお、今後は月に一度内容を更新する方針とのことであり、公表期間は書類送検した日から約1年ですが、期間中に違法状態を改善した企業名はホームページから削除されるそうです。

厚労省が労働法令違反による送検企業名を公開②

・安衛法違反の事例が最多

 公表されたリストの内訳をみると、企業が安全対策を怠った労働安全衛生法違反が209件で最も多く、次いで賃金未払いなど最低賃金法違反が62件、違法な長時間労働をさせるなどした労働基準法違反が60件、労働者派遣法違反19件などとなっています。

 労働基準法違反では、女性社員が過労自殺した電通や、社員に違法な残業をさせた疑いで書類送検されたパナソニック、労災事故を報告しなかった疑いで書類送検された日本郵便などの大企業も含まれています。

 また、他にも三六協定で定めた時間を超える違法な残業をさせた疑いで、印刷会社や運送会社などが書類送検されています。

 同じ会社が複数回書類送検されたケースもあり、地域別では最も多かったのが愛知労働局の28件、次いで大阪労働局の20件、福岡労働局の19件となっています。

厚労省が労働法令違反による送検企業名を公開①

全国の労働局の送検企業を一覧で公表

 厚生労働省は5月上旬、長時間労働や賃金不払い、労災につながる安全配慮義務違反などの労働関係法令に違反した疑いで書類送検した企業名を、同省ホームページ(HP)に掲載しました。

 掲載されたのは334件で、全国の労働局が昨年10月以降に書類送検した企業・事業所名、所在地、公表日、違反した法律、事案概要などを県別に並べたものです。

 各労働局の発表内容を一覧表にまとめて公表したのは初めてのことです。

従業員の睡眠不足②

◇睡眠負債で高まる労災リスク

 睡眠負債は、慢性的な長時間労働と表裏一体の関係にあります。企業にとっては、従業員の疾病発症率が高まるということは、自社の労災発生リスクが高まることを意味しています。

 万が一、自社の従業員が脳・心臓疾患や精神疾患を発症し、これが長時間労働によるものと主張されることになれば、企業はこの疾患の「業務起因性」や、そもそもの「安全配慮義務」を問われる事態ともなりかねません。

 

◇労働者と企業を守る

「勤務間インターバル制度」

 労働者の睡眠負債への特効薬として、今、期待されているのが「勤務間インターバル制度」(退社から出社まで一定時間を空け、労働者の休息時間を確保する制度)です。

 終業が遅くなった際、始業を後ろ倒しすることで、睡眠を含む休息時間の確保につながります。

 厚生労働省の有識者会議における資料によれば、この「勤務間インターバル制度」をすでに導入している企業および導入検討中の企業はわずか10%程度であり、普及はまだまだこれからですが、企業にとって要注目の制度と言えるのではないでしょうか。

従業員の睡眠不足①

◇睡眠ブーム到来中!

「睡眠」が静かなブームとなっています。

 ビジネスマン向けの「睡眠」関連書が次々と出版されたり、深夜業務が多い企業などを対象とした「従業員の睡眠改善」セミナーが話題となったりするなどしています。

 「平成27年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、1日の平均睡眠時間が「6時間未満」という人は平成27年で39.5%です。この割合は、平成19年以降、増加し続けています。

 睡眠ブームも、このように睡眠不足に悩む人が増えていることの裏返しと言えます。

 ここでは、企業にとっての「従業員の睡眠不足」について、考えてみましょう。

 

◇睡眠負債の恐怖

 「睡眠負債」という言葉をご存知でしょうか。スタンフォード大学により提唱された概念で、日々の僅かな睡眠不足が負債(借金)のように積み重なっている状態を指します。

 短期的な睡眠不足であれば、しっかり休養すれば改善しますが、睡眠負債の場合、本人は睡眠不足の自覚がないまま心身にダメージが蓄積し、脳のパフォーマンスの低下や、がん、生活習慣病、鬱、認知症などの発症をも引き起こすとされています。

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